SPECIAL REPORT 2004.09.23

’04FIA世界ラリー選手権第11戦「ラリー・ジャパン2004」
オフィシャル参加レポート

CMSC千葉の丹羽浩道選手(右端)とチームの面々

■エントリー

 昨年、バーストからのリタイヤの雪辱をと当初から参加を決めていたが、今年から日本初のWRCに昇格という事で約130台の申込があったらしく、参加受理されるかどうかで気を揉まされた。もう少し早めに決めてもらえると良いのだが、プライオリティドライバーの参加を待ってから受理という事で仕方がないらしい。車両は3年目となるランサーEvo.7。レッキカーは道が掘れる事を考慮して小型RV(レンタカー)とした。昨年に比べて路面は固くフラットで良好で、ハイスピードのコースとなった。

CMSC千葉の丹羽浩道選手(左)
コ・ドライバーの安江照明選手(右)

■セレモニアルスタート~Leg1
 木曜日、午前中でレッキを終了して、夕方からセレモニアルスタートのみの日程。帯広駅前の目抜き通りを閉鎖して行われたが、さすがにWRCというべきか昨年とは比較にならない程に(2001年に参加したNew Zealandラリーよりも圧倒的に人出が多かった。報道では5万人超らしい)多くの観客が集まっていて驚いた。何しろ500m以上の通りの両サイドが観客で一杯なのだ。

 金曜日、いよいよ競技がスタート、天候は晴時々曇り。LEG1のコースは速度の変化が激しく、高い速度の区間に慣れた目に注意しないと中速コーナーへオーバースピードのまま進入してしまいそうだ。

 SS1: 23.26km。区間によって高速コーナーが続いたり、中低速コーナーが連続したりする変化のあるコース。前ゼッケンの調子が良くない様で中盤で追いついてしまった。なかなか気が付いて貰えずにしばらく一緒に走ってしまいタイムロス。長いストレートから中低速コーナーへ強いブレーキングから進入するパターンが多くて、ブレーキが完全にフェードしてしまい、その後しばらくペースを落として回復を待った。

 SS2: 21.56km。このSSも高速セクションと中低速セクションと切り替わっていくコースだった。ここでも前走車に追いついてしまう。今度は直ぐに譲ってもらうが追いつくまでのホコリが酷い。

 SS3: 26.57km。高速コーナーの長い回り込みからクローズして中低速コーナーへ進入していくパターンが多く、ブレーキングが難しい。ここでも前走車を追い抜く。

 SS4: 2.80km。リクベツオフロードコースのスーパーSS。路面のうねりが酷く、慎重に走った。

 サービスにて、タイヤ4本を新品に交換。フロントのブレーキパッドも交換した。

レグ1、トラブルを抱えながらの走行となった丹羽浩道選手(千葉)

SS5: SS1の順走。やはり前走車のペースが上がらないようだったが、後もう少しというところで追いつけないままゴールとなった。終盤の高速コーナーの連続区間がホコリで全く見えず、走りづらかった。

 SS6: SS2の順走。ここでは追い抜いたが、とにかく追いつくまでのホコリが酷い。SS途中でACDの車速センサーの配線が断線したようで、ACDのモードの表示がすべて点きっぱなしになってしまう

 SS7: SS3の順走。ACDが作動していない為か、中低速コーナーで車が落ち着かない。ここでも前走車をかわす。

 SS8: SS4順走のリクベツ・スーパーSS。路面の荒れとうねりが酷くなっている区間があり 無理せず走る。

 SS9: 2.20km。河原にスタジアムまで特設されたサツナイ・スーパーSS。特殊舗装に砂を撒いたような路面。ACDが作動せずセンターデフフリー状態のため、アクセルオンすると横方向にスライドするのみで前に進んでいかない。

 やはり右リヤの車速センサーが切れてしまっていてサービスにて交換してもらう。タイヤ4本を新品に、フロントのブレーキパッドを交換した。前車のホコリに悩まされた1日となってしまった。

■Leg2
 
土曜日、天候は晴時々曇り。早朝なのにサービスパークの人出にビックリ。もちろんワークス目当てなのだが。

 SS10: 7.89km。道幅の広い浮き砂利ダートで高速コーナーの多いコース。タイヤの接地感が弱いのとホコリで減速し過ぎて走ってしまった。ペースノート自体をキツく作り過ぎてしまったようだ。

 SS11: 13.90km。前半はSS10と同様の上り、後半はやや道幅の狭い下り。急な下りの緩いコーナーからキツいコーナーに進入するパターンが多く難しい。

 SS12: 2.80km。オフロードコースのスーパーSS。終盤の林道風の区間から広場に繋がる間が荒れていて、ガードを酷く打ってしまう。柔らかい路面だったようで、幸い何事もなかった。

 SS13: 26.03km。序盤から中盤くらいまでペースノートをロストしてしまい、ペースを上げられなかった。

 SS14: 10.77km。ここでもペースノートを中盤でロストしてしまい、有視界走行となってしまった。どうやらコ・ドライバー(ナビ)が体調不良らしい。

 サービスにて、タイヤを4本新品に、ブレーキパッドは種類の違うものに交換した。

豪快に直線を疾走する丹羽浩道選手(千葉)の三菱ランサーエボリューションVII

 SS15: SS10の順走。SS10の反省からややペースノートよりも緩めに走ったつもりだったが、ホコリが酷くイマイチ攻めきれない。SS10よりも更にタイムダウンしてしまった。

 SS16: SS11の順走。下りの緩いコーナーへの進入のブレーキをなるべく我慢して走るが、あまりタイムが変わらない。

 SS17: SS12の順走のスーパーSS。荒れている区間が更に酷くなっている。無理せずに走る。

 SS18: SS13の順走。どうもペースノートと実際の走りがマッチせず、必死に走ったつもりがタイムに繋がらない。

 SS19: SS14の順走。今日最後の林道SSになって、ペースノートと走りがマッチした。

 SS20: 河原に特設したスタジアムスーパーSS。昨日のACDトラブル状態で走った滑る印象が残っていて、必要以上に慎重に走りすぎてしまった。

 この日は思ったよりもペースを上げられず順位を落としてしまった。無用なシフトダウンをしてしまい、コーナーへの進入速度を落とし過ぎてしまっているようだ。最終サービスにて、ショック交換をしてもらう。タイヤも4本新品に交換。

■Leg3

 日曜日、いよいよ最終日。天候は晴。LEG2の不甲斐なさから、自分を筆頭に4台が35秒以内にいるので、気の抜けない最終日となった。

 SS21: 8.76km。エスケープゾーンが少ないのに速度の変化が激しい道で難しい。轍もあるが、やわらかい砂利なので頼りにならない。

完走を目指して踏ん張る丹羽浩道選手(千葉)

 SS22: 17.04km。道幅は狭いが、グリップの高いハイスピードコース。ブラインドの高速コーナーに入るのが難しい。

 SS23: 29.07km。コース上はフラットだがラインを外れると根岩があるコース。中盤が中高速コーナーの連続で、ウェット路面になっているため、進入速度の見極めが難しい。

 SS24: 2.20km。特設スタジアムのスーパーSS。初めて日中に走った。昨晩と同じペースで走ったつもりだったが、ペースが上がっていたようでジャンプの箇所で飛びすぎてしまい、フロントノーズから着地してしまった。

 サービスで点検してもらうと、幸いインタークーラー・ラジエター等に変形は無く走るのには影響無しとの事。なんとか他車との差もそのままだったので、気を引き締めて最終セクションに向かった。タイヤを4本新品に交換。

 SS25: SS21の順走。やわらかい轍がかなり深くなっていて、走りづらい。抑えすぎてしまったようで、タイムダウン。

 SS26: SS22の順走。順調に走っていたが、前半で轍の中の岩でサイドカットによりバースト。直ぐに交換して走り出したが、インターコムの繋ぎ方が悪くノート走行ができないまま、走ってしまった。4分ちょっとロスしてしまい、万事休す。なんとか次のTCまでのガレ場8km弱を無理せず急いで、ペナルティだけは免れた。

 SS27: SS23の順走。やはり後半のウェットの区間は難しく、完走ペースで走った。

 最後の最後でのバーストにはガッカリしたが、少しでもタイムを削ろうと走っていたので仕方が無い。どうもパンケ山には嫌われているようだ。タイヤ交換でのトラブルで思った以上にタイムロスしたのが失敗だった。

 最後になりますが、ご協賛頂きました横浜ゴム(株)、カヤバ工業(株)、(有)坂東商会、ティーズ(株)、(株)エンドレススポーツ、ペトロルブ・インターナショナル(株)、(株)ジェイ・ワン、(株)ラリーアートほかスポンサー各社ならびに、仕事を休んでボランティアで来てくれたテンダーモータースポーツのサービス隊のみなさん、誠にありがとうございました。お陰さまで完走することができました。

(CMSC千葉 丹羽浩道)

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