SPECIAL REPORT 2004.03.25

【CMSC栃木 ”Joy耐”参戦レポート】

CMSC栃木チームの面々

 CMSC栃木は、3月7日(日)に、栃木県芳賀郡茂木町の「ツインリンクもてぎ」にて開催された「もてぎenjoy耐久レース”JOY耐”」に参加いたしました。

 参加車両は、Car-No.94 アルファーデザインランサー(三菱ランサーエボリューションVII)、ドライバーは全員CMSC栃木で、スーパー耐久でも活躍中の村田信博選手、森澤正良選手、江本盛繁選手、朝倉貴志選手。監督はCMSC栃木の会長でもある川口法行という布陣で臨みました。

 予選の模様をお伝えする前にJoy耐レース独特の規則にふれておきましょう。このレースの特徴といえば、なんといっても給油方法。クイックチャ-ジャー等はつかえず、なんと施設内のガソリンスタンドでの、日常見かける給油方法なのです。その際に許される最大量は35リットル、しかも給油した場合は最低10分間はコースインすることができず、その間のドライバー交代やピット作業も禁止されてしまう、まさに燃費レースなのです。CMSC栃木が、そのようなレースにあえてランサーで戦う理由は、“速いクルマが速く走らなきゃかっこよくない!燃費レースで苦戦するんだったら、予選で速さを見せ付けて目立っちゃえ!”である。ということで予選、狙うは当然ポール。チーム全員で、川口監督の緻密なポール奪取のシナリオを実行に移してゆくのです。

 予選タイムアタックできるのは1stドライバーと2ndドライバー。それならば1stDr.村田選手が誰も上回れないタイムを最初に出してしまえば、あとはコンディション・セッティングの確認に専念できるし、なによりタイヤやクルマも温存できる。プレッシャーかけてるみたいだけど、“任せたよ、村田選手!。” 

集中を高める村田信博選手

ところが、村田選手の予選は、なんとウェットコンディション。さらに2ndDr.以降の予選は雨も上がりそうな状況。当然ウェットよりもタイムアップしそう。ということで、2ndDr.森澤選手に期待と責任がのしかかってきそうな雰囲気。森澤選手もドキドキ! 3rdDr.江本選手もドキドキ! だって、森澤選手も江本選手も、草レースでは経験も実績もあるけど、本格的なレースは、は・じ・め・て! はじめてって緊張するでしょ。そんな空気を読んだか村田選手、コンディションが多少はよくなっているだろう後半にかけ、コンセントレーションを高めていく。張り詰めていく緊張感、チーム全員の期待を一身に集め予選残り時間8分でコースイン。残り時間を考えれば、アタックできるのは1ラップか2ラップ。1ラップ目、タイムが思うように上がらない。“このタイムではポールは危うい。”チームに不安がよぎる。ウェットで暴れるクルマ、必死にクルマと気持ちをあわせ、そして2ラップ目、タイムは2’15.508。村田選手にはとても納得できるタイムではなかった。この後のドライの予選を考えると、決して油断できないタイム。タイヤやクルマを温存する作戦を変更し、森澤選手がタイムアタックをするか?それとも村田選手のタイムを信じて作戦をホールドするのか。川口監督が頭を悩ます。しかし森澤選手は決めていた。“村田選手のタイムにかけよう、ドライになってもこのタイムならそうそう上回れないはず”

 作戦はホールド。タイヤ・クルマを温存する走りに徹しよう。2ndDr.森澤選手がコースイン。“アタックしたい・逸る気持ちを抑えての予選。いつ抜かれてもおかしくない。アクセルを踏みたい。でも、作戦を台無しにはできない。万が一タイムを更新されたら、そのときはいつでもアタックしてやる!”ちょっとした油断でもコースアウトしてしまいかねないコンディション。チームのサインも気にかけなくてはならない。そんな困難な状況を受け止め、冷静に予選をこなしてゆく森澤選手。ドライバーもチームも一瞬も気を抜けない。ラップモニターとにらみ合う川口監督。長い長い予選がとうとう終わった。結局、村田選手のタイムを誰も上回ることはできなかった。チームの作戦勝ち!場内アナウンサーも絶叫!ドライバーが凄いのはもちろん、チーム全員でもぎ取った、うれしいポールポジション!

 3rdDr.江本選手、4thDr.朝倉選手に残された仕事は、基準タイムをクリアすること。まぁ、両選手の実力を持ってすれば、それ自体はたやすいこと。決勝はクルマをいたわる走りが必要になる。燃費レースでは苦戦をしいられるけれど、できることはしっかりやろう。だから今はクルマやタイヤをいたわる走りをしておこう。江本選手・朝倉選手はチームの作戦を受け入れ、着実な走行で予選をこなしていったのでした。

 スタート前のダミーグリッド。監督もドライバーもご満悦。一番前って気持ちいい!ポールポジションの余韻に浸っていたのもつかの間、村田選手がシートに座り、コンセントレーションを高める。メカニックもクルマの最終チェックに余念がない。“無事に走りきってほしい” チーム一同の想い。

 レーススタート。1stDr.村田選手がトップを快走。後続を次第に視界から消し去ってゆく。しかし、7ラップで緊急ピットイン、トラブル発生。水温の上昇が激しい!メカニックたちのすばやい対応で、あっという間にパーツ交換。この機にドライバーチェンジ。

トラブル発生!!

2ndDr.森澤選手にアドバイスをする村田選手。手際のよい修復作業でドライバーを送り出す。2ndDr.森澤選手の力走。しかしトラブルで失った時間は、あまりに痛すぎる。ただでさえ苦しい燃費レース。クルマは順調に走ってくれるだろうか。さまざまな思いが交差する。冷静沈着な森澤選手。クルマをいたわりながら、ルーティーンの周回をこなし、給油のため施設内のGSへ。GS?でも、これがJoy耐の独特のルール。自走禁止区間ではチームみんなで懸命にクルマを押す。そう、全員で戦ってるんです。

 給油後、3rdDr.江本選手へドライバーチェンジ。川口監督の力のはいった指示に無言でうなずき、あふれる闘志を体中に蓄積させていく江本選手。クルマの状態をチェックし、祈る気持ちでコースへ送り出すメカニック。その期待にこたえようと、確実にクルマを操る。江本選手は困難な仕事を成し遂げ、4thDr.朝倉選手の待つピットへ。

 予選ではチームの作戦のため本領を発揮する機会に恵まれなかった朝倉選手。内に秘めた想いは、チームの誰もが気づくところ。思いっきり走ってほしい、ランサーの速さを思う存分見せ付けてほしい。あとはチェッカーを受けるだけなのだから。

挽回目指して

 ドライバーチェンジした江本選手が、朝倉選手のハーネスを締め付ける、一言二言アドバイスを受け、一度頷き、コースをじっとにらみつけ、コースインタイミングを、ただ静かに待ち受ける。いざ、コースイン。インラップを無難にこなした次のラップ、2’11.605。このレースのファステストラップを記録。まだまだラップタイムも上がっていくだろう、しかし非情にもペースダウンの指示が!このペースではチェッカーを受けるまで燃料が持たないことが、川口監督の計算により発覚。泣く泣くサインを出し、朝倉選手も軽く手をあげ了解のサイン。そのままチェッカーを受けた。

 レース序盤のトラブルを最後まで挽回できず、結局B-4クラス2位、総合25位でフィニッシュ。ほんとに残念!

村田 信博

「3回目のJoy耐。今回もランサーの速さをアピールできたよね。チームみんなで楽しめたレースだったけど、不完全燃焼気味かな。この悔しさをスーパー耐久にぶつけて、いい成績をあげられるよう頑張るよ。」

森澤 正良

「はじめての本格的なレース。これからももっといろいろなレースにチャレンジしていきたいね。ランサーって速いし乗りやすいね。他のクルマとの速度差があって、ドキッとさせられた場面もあった。マナーって大事だね。」

江本 盛繁

「本格的なレースは初めてだったので、緊張しちゃいましたよ。確実につなげるために、我慢しながらペースコントロールに努めた。また走れる機会があったら、ぜひとも走りたい。」

朝倉 貴志

「序盤トラブルの出た水温が心配で、気にかけて走ってた。大丈夫だと判断してペースをあげたけど、ペースダウンの指示が出て残念。だけど、これもレースだよね。スーパー耐久に向けて、いい練習になったよ。」

(CMSC栃木 鈴木俊匡)

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